熱中症の正しい知識と適切な予防で暑い夏を乗り越えましょう!
警防部救急課
これから気温が高くなる夏にかけて気を付けなければならないのが熱中症。
特に高齢者や子どもに関しては深刻な問題です。
熱中症は正しい知識と適切に予防すれば未然に防ぐことができます。
熊本市消防局の寺田幹史さんに、熱中症について聞きました。
発症する人の半数が65歳以上!室内で何もしてなくても要注意
熱中症は毎年、梅雨が明けて気温が急上昇する6月から8月にかけて多くなります。
近年は温暖化の影響もあってか、5月から熱中症にかかる人も増えています。
熱中症は高温多湿の中に長時間いて体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもり、さまざまな体調不良を起こします。
発症する半数の人が65歳以上の高齢者です。
高齢者は若い人よりも体内の水分量が少なく、さらに暑さや喉の渇きを感じにくく、体温調整機能も低下しています。
体内に熱がこもりやすく体へのダメージも大きく、高齢者の方は特に注意が必要です。
熱中症にかかる要因には、気温と湿度が高い環境で水分補給ができていないことにあります。
屋外での作業や運動、買い物中など、さまざまなところで起きますが、室内で何もしていなくても多く発生しています。
データでは約4割近くが住居で発症していて、閉め切った部屋やエアコンをつけてない部屋などで多く発生しています。
他にもその日の体調や基礎疾患なども関係してきます。
劇場、コンサート会場、飲食店、百貨店、病院、公衆浴場、駅(地下ホーム)等
競技場、各対象物の屋外駐車場、野外コンサート会場、駅(屋外ホーム)等
早い手当がとても重要!知っておきたい応急処置
熱中症にはさまざまな症状がありますが、軽症の場合はめまい、瞬間的な失神、こむら返りなど筋肉痛や筋肉の硬直、手足のしびれなどがあります。中等症になると、体がぐったりしたり力が入らないなどの倦怠感や虚脱感、頭痛や吐き気、嘔吐などがあります。重症になるとさらに、意識障害、けいれん、手足等の運動障害、高体温などが現れてきます。病院に搬送されて、肝機能や腎機能の障害や血液凝固などさまざまな症状が判明することがあります。意識がない、自力で水が飲めない、応急処置をしても改善が見られない場合などはすぐに救急車を呼びましょう。このような症状がなくてもおかしいと思ったらためらわずに呼んでください。
熱中症の症状が出た場合、応急処置としては涼しい場所へ移動し、ズボンや襟元などをゆるめ、脇や首、足の付け根などを水や氷、保冷剤などで冷やすこと。体などに水をかけてうちわなどで扇ぐのも効果的です。本人が自力で水が飲める状態であれば、水分を補給してください。できれば塩分や経口補水液などがあれば与えてください。自力で飲めない場合は、無理して与えないこと。誤嚥などを引き起こす場合があります。
もし、身近に熱中症だと思う人がいたら落ち着いた行動をとって対応してください。最初の処置がとても重要です。救急搬送を依頼した場合も、救急車が到着するまで上記の対応を取ってください。
熱中症は予防が大切!高齢者には声掛けを
予防としては、何と言っても高温多湿を避けることです。
屋外の場合は日陰を歩いたり、日傘や帽子の着用、通気性の良い服装、そして適宜に涼しい所で休息を取って無理をしないこと。
自宅などの屋内は、風通しの良い窓の工夫や強い日差しをさけるなど早めの対策をしておくことをお勧めします。
暑い日は我慢せずにエアコンや扇風機など空調設備を利用して温度調節をしましょう。
そして水分補給はこまめに計画的に。
特に高齢者は、のどが渇く前に時間を決めたりして計画的に補給するのをお勧めします。
起床時、入浴の前後にも水分を補給しましょう。
予防や対策は本人の体調によって行っていきましょう。
持病がある方などは医師などに相談して進めてください。
また高齢者の場合は周りのサポートが重要となります。
普段から気を配って、エアコンなどを使った温度調節や水分補給の勧めなど、こまめに声掛けをしてください。