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質の高いケアが提供される特養を選択肢の中に

熊本県法人
福祉施設協議会
会 長 跡部尚子さん

特別養護老人ホームとは、自宅での生活が難しい高齢者を対象に社会福祉法人が運営する施設です。
特別養護老人ホームの他にも、介護老人保健施設や民間の老人ホームなどがあり、運営の目的や内容に違いがあります。
私たちが施設を検討する際のポイントや、特養の特徴など熊本県老人福祉施設協議会の跡部さんにお伺いしました。

施設を選ぶ時は「特養」を選択肢から外さずに

特別養護老人ホーム(特養)とは、在宅での生活が困難な要介護状態の高齢者が入居できる介護保険施設です。入居するには、65歳以上で要介護3~5の認定を受け、常に介護が必要される方が対象となります。

特別養護老人ホームと民間の老人ホームの大きな違いは、運営が社会福祉法人という点です。社会貢献や社会福祉を目的に、国の補助を様々な面で受けているので、質の良いサービスが受けられます。また、介護保険制度を利用するため、初期費用がかからず月額負担も比較的少なくてすみます。入居を希望する際は、施設へのお申し込み後、判定会が行われ入居の可否が決定されます。

よくお聞きするのが「特別養護老人ホームは空きが無い、何年も待たないと入れない」というお話です。以前は多くの待機者がいる状況が続いていましたが、近年は熊本県内の特別養護老人ホームでも、地域によっては空きのある施設が出ています。待機者も減少傾向です。認知症で自宅での介護が難しい方など「特例」に当てはまる方は、要介護3に満たなくても申請は可能ですし、タイミングが合えばすんなり入居できる場合もあります。入居申込み数には制限がないため、施設を検討する際には、特別養護老人ホームを選択肢から外さず、複数の施設を検討する事をおすすめしています。

熊本県老人福祉施設協議会の施設数合計364施設(令和6年3月現在)

特別養護老人ホーム 158施設
その他施設 206施設

多床室ユニット型個室

特別養護老人ホームの中には、4人部屋が一般的な多床室や従来型個室、最近増加傾向にある全室個室のユニット型の施設があります。

ユニット型特養は、10名程度を「ユニット」とし少人数のグループに分け、介護サービスを提供しています。
共有スペースを取り囲む形で個室が配置され、プライバシーを保ちながら自宅での生活に近い環境が実現できるようになっていて、スタッフが利用者一人ひとりの個性や生活のリズムを尊重したケアを行っているのも特徴です。
最近は、プライバシーや入居者同士のコミュニケーションに重きをおいた、このユニット型が増加傾向にあります。
ユニット型は、従来の多床室型や個室型より居住費用が少し高めに設定されています。

特養は、入居された方の多くが「終の棲家」として最後まで過ごされる事例が多く、施設選びはとても大切です。
今の特別養護老人ホームは、以前と比較しても入居される方の生活スタイルに合った施設を選べる時代になったと言えます。

特別養護老人ホーム入居条件

65歳以上、
要介護認定で
「要介護3」以上※特定疾病のある要介護3以上の場合40~64歳でも入所可能

「要介護1~2の特例」

  • 認知症により日常生活に支障をきたす症状や行動などが見られる
  • 知的障害や精神障害などによる日常生活に支障が出る症状や行動、 意思疎通が難しい症状が頻繁に見られる
  • 同居する家族などから深刻な虐待を受けた疑いがあり、心・身の安全確保が難しい
  • 単身や同居家族が高齢や病弱などで家族の支援を受けられず、地域の介護サービスや生活支援の供給が不十分

元気な間にいろいろな施設を見学して欲しい

私はお会いした方々に「足腰が動くうちに、いろいろな介護施設を見にいく終活をしてほしい」「元気な間にに、興味のある施設をたくさん見学し、早い時期から比較検討して欲しい。そして、入居したい施設が見つかったら、お子さんやパートナー、ご家族に今のうちから伝えてください」とお話しします。というのも、入居をされるほとんどの方が、“病院の退院に伴って家族が困り、空いている施設を慌てて探す”というパターンがとても多いからです。元気なうちに自分自身の意思や希望をはっきりとさせていくことは、最後まで「自分らしく」生きる方法です。終活の一つとして、いろいろな施設を見学し、ご自身に合う「自分らしく最後まで暮らす」方法を今のうちから見つけて欲しいと思います。

特養入居までの流れ

※入居に関わる諸手続き等や書類に関しては各事業所へお問い合わせください。

取材協力
熊本県老人福祉施設協議会